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【静岡県掛川市】よこすかしろの見学へ(白下糖/砂糖)

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静岡県掛川市

この地域には、砂糖、塩、酢、醤油、味噌と

さしすせそ、すべてが揃う町。

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今回はその中でも「砂糖」。

11~12月にかけて作られる『よこすかしろ』という白下糖の工場見学へ行ってきました。

ここの工場は、「サンサンファーム」という物産センターの中にあります。

時期じゃなくても、ガラス越しに釜などを見ることが可能です。

 

ここのサトウキビは、元々、和三盆を作る高知県から苗を持ってきて作り始めたのが始まり。

そのため、和三盆になる前の煮詰めて固めた砂糖のことを「白下糖」と呼び、横須賀の地名と合わせて「よこすかしろ」という愛称で以前から親しまれてきました。

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このパッケージに書かれた説明文には、

「土佐がルーツのサトウキビにありがとう」という文章が。

 

どうして掛川で作られるようになったのか・・・

そんな歴史も、工場内に書かれて紹介されています。

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この「よこすかしろ」は、

搾って煮詰めて固めた砂糖なので、黒糖のようにミネラルなども多く含まれます。

ただ一般的な黒糖独特の渋み?苦み?のような感じはなく、

とてもまろやかで優しい、クセのない甘み。

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もっともっと!と欲するような甘みではなく、

すーっとカラダに染み渡り、ほっこりした気分に浸れます。

静岡茶と相性抜群だと思う!お茶うけ最高!

 

現在は4件の農家さんと、保存会の皆さん、梱包スタッフ、シルバー人材派遣さんでその伝統を守り作り続けています。

代で言えば、3代目。

この時期だけ集まって作業をされています。

 

まずはサトウキビ!

現場近くにサトウキビ畑があり、収穫後葉を落とし農家さん自ら運んできます。

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この左側にあるのが、搾汁機。

400kgのサトウキビを搾り、200kgのサトウキビジュースが搾られます。

これが砂糖になるときには、なんと20kg!

 

サトウキビはいったん刈り取っても、また生えてきます。

一般的に6回ぐらい・・・と聞いたことがありますが、

ここではなんと10回だそう!!

5~6回目のサトウキビが一番おいしいと農家さんが教えてくれました。

 

そしてこの搾った後の茎の部分は「バカス」と呼びます。

ここでは粉砕し茶畑にまいたり、和紙の原料になるそうです。

そしてサトウキビ畑にも敷き、次に生えてくるサトウキビが凍らないように冬を越す。

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製糖工程は・・・

200kgの搾られた液を釜で煮詰めながらアクを取り除いていきます。

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釜は3つ。

まず手前の釜で吹きこぼれないように

竹の棒をグルグルとかき混ぜながら、

アクも取りつつ20分ほど煮詰めていきます。

 

それをいったんタンクの中に入れて、静置させ、

残りの2つの釜に分けて、さらに45分ほど煮詰めていきます。

 

1つめの釜で煮詰めた後のサトウキビジュースは、

現地の方は「ふっきり」と呼んでいるそう。

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味見させて頂きましたが、ちょっと草の感じが鼻に抜ける、優しい甘み。

温かいこともあって、ほっこりした~。

このまま販売してもいいんじゃないの?ってぐらい美味しかったです。

 

このふっきりをより煮詰めていきます。

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最初は吹きこぼれそうになるのを竹を回しながら抑えていますが、

徐々に吹きこぼれない、

プツプツと、マグマのような感じでぐつぐつした感じになっていきます。

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温度計で温度を調べながら適温になるまで煮詰めていきます。

 

煮詰めた後、固めて完成!ではなく、この次の作業がとっても大変。

 

陶器の中に少しずつ入れて、なんと20分ほどかき混ぜる!

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この作業をしないと、砂糖が固まらないんだとか。

陶器でするのも、程よく冷却できるからだそう。

大きな釜で煮詰めたものは、この3つの陶器分なんですよ。

 

私も少し体験させてもらいました!

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イメージはすりゴマのような感じ。

これ20分は、めっちゃキツイ・・・。

 

その後パレットに少しずつ入れて、固めていきます。

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10分ぐらいすると出てくるこの白いもの。

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現地の方は「砂糖の花」って呼んでいるそう。

美味しい砂糖が作れた証拠らしいです。

 

ヘラで適当な大きさに切り、中にも空気を入れて固めていきます。

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その後一晩置いて完成。

一般的な黒糖に比べ、明るい茶色。

その時のサトウキビの状態にもよるようですが、今回はキャラメルのような色に仕上がりました。

 

何より皆さんがとってもイキイキしてる!

作業している皆さんは、年齢層も高めですが、みんな楽しそうで、イキイキしてる。

たくさん話しをしてくれて、笑いも絶えず。

こんな環境で作られるからこそ、あの美味しい味になるんだと、これはさまざまなメーカーを見てきて確信しています。

 

原料や製法にこだわるだけでなく、

そこには人の手、想いが浸透し、おいしさに作用しています。

 

料理も心を込めて作らないと・・・って、毎回こういう現場を見学する度に反省です・・・。

 

農がさんや製造現場の現状

製糖時期は1ヶ月程度。

毎年楽しみにしている方々多く、すぐに売り切れる「よこすかしろ」。

 

ただ、この裏側の農家さんや製造現場の現状は考えさせられるものでした。

詳しい数字まで教えて頂き、現実を考えるとやってられません。

それでもこの文化伝統を「絶やしたくない・・・」その一心で毎年作られている。

 

あいみょんの「ハート」が流れる店内でこの話を聞いたこともあり、ず~んと、心に響きました。

 

こういう現状って、ここだけじゃない、日本全体のこと。

もっと真剣に考える必要がある、私にできることは何だろう・・・。

 

一緒に行ったのは・・・♪

今回一緒に行ったのは、静岡県島田市で調味料講座や料理教室をしている

提坂研究所 提坂弥生さん。

講座をマンツーマンでさせて頂いてからもう5年ぐらい。

それからのご縁で、時々見学にいったり、情報交換しています。

 

自撮りしかできず、こんな感じですが・・・

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声をかけてくれるのが、とっても嬉しい。

ありがとう!

 

現場を見ないとわからないこと、知らないことがたくさんあります。

ホントに勉強になり、良い経験でした!

またここで得たことを、皆さんにお伝えしていきます。

 

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サンサンファーム

静岡県掛川市大渕1456-312

TEL:0537-48-6368